難しそうな経理のお仕事 連結決算編

連結 経理

こんにちは!おべんと君@企業内診断士です。

前回、経理部業務のご紹介として、「単体決算」について説明しましたが、今回は「連結決算」についてお伝えしたいと思います。

数年前に簿記2級の範囲になったこと、また診断士の試験でもたびたび出題されることから、「連結決算」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

ただ、「連結決算」の業務を経験している方は少ないように思います。

どんな業務を実際に行うのか。想像つかないですよね。

今回はそんな連結決算の業務について、簡単ですが少しご紹介していきたいと思います。

この記事がお役に立てる方
 ○経理職の就業に興味がある方

連結決算の根拠法令について

根拠法

連結決算を行う上で前提となる根拠法令は、「連結財務諸表規則」と言われる金融商品取引法に包含される法令です。

中小企業診断士の経営法務で学習された方は覚えているかと思いますが、「金融商品取引法」は上場している会社に適用される法律となります。元々連結決算は上場会社にのみ適用することを目的とされていました。

今は連結決算の手続きは幅広く認識されており、上場していなくても子会社がある場合は、連結決算を行ってグループとしての決算値を作る会社が増えてきていますし、簿記2級の範囲にもなったように、連結決算の重要性は確実に高まっているものと思います。

 

連結決算業務のご紹介

紹介

それでは簡単ですが、連結決算の業務についてお伝えしていきます。

 

連結の範囲、持分比率の確認

上場会社では、精緻な連結決算を四半期ごとに行います。

最初にすべき業務として、子会社の中で連結決算の対象となる会社はどれか?を明確にするため、「連結の範囲」を決めます。

私がいた会社では、国内海外含めて90社近い子会社がありましたが、すべての子会社を対象として範囲に含めるべきかを確認をします。

連結財務諸表規則では、原則すべての子会社が連結対象となる旨の記載がありますが、実務上は重要性が乏しい、清算予定もしくは吸収合併により消滅予定といった特殊事情がある場合は、監査法人に確認した上で連結対象から除外する手続きを取ります。

連結の範囲が確定した後、連結対象会社に対して持分比率を確認します。

持分比率とは、子会社の株式に占める親会社が保有する株式比率のことです。親会社が100%出資して作った子会社であれば持分比率は100%となりますが、他株主から買収して子会社化した、あるいは他社と共同で子会社を設立した場合は、持分比率は100%ではない可能性があり、その持分比率によって親会社に帰属する当期純利益が変わります

親会社の利益に影響するため、非支配株主がいる子会社を中心に持分比率をチェックします。

そして四半期ごとに、最新の連結の範囲及び持分比率を反映した連結対象会社一覧表を更新し、監査法人に連結決算の前提根拠資料として提出します。

  

子会社情報の収集

連結決算は単体決算と同様、連結決算用の会計システムを使って決算をまとめていきます。

システムによって子会社情報の収集方法は異なりますが、親会社が指定したフォーマットに沿って、クラウド内への入力やファイルをアップロードしてもらい、決算値等を収集します。

私がいた日本法人ではIFRS(国際財務報告基準)は適用していませんでしたが、子会社ではIFRS適用済みの会社があります。また米国子会社ではUSGAAPという米国会計基準を適用しており、各国で適用している会計基準が異なります

一方、連結決算は原則親会社の会計方針に合わせて決算処理を行うため、子会社の適用基準と日本の適用基準が異なる場合は、日本の会計基準に合わせて修正する必要があります。

例えばIFRSの損益計算書は日本の会計基準と利益の区分が異なるため、日本の会計基準のフォーマットに直してアップロードしてもらいます。

また、とある米国子会社では棚卸資産の評価方法にLIFO(Last In First Out/後入先出法)を適用していましたが、日本で後入先出法は認められていないため、本社にてFIFO(First In First Out/先入先出法)に修正する仕訳を計上していました。

こういった修正をしつつ、基本的には子会社から受領した数値をそのまま取り込みますが、年度末については、子会社現地の監査法人による監査報告書(英語や中国語、フランス語も・・・)を送ってもらい、システム上の数値と相違ないかを確認します。

子会社情報に関するミスや不明点の確認は随時行います。

時差の問題正しい仕訳の説明を英語で行うなど、なかなかハードで貴重な経験をさせていただきました。

 

連結決算開始

連結決算を始める下準備が整い、連結対象となる子会社からの情報が揃うと、連結決算開始です。

まず子会社の情報を連結会計システムに取り込んで合算財務諸表を作ります。

その後、連結修正仕訳をシステムに計上していきます。

連結修正仕訳の主な内容は以下の手続きがあり、実務としてはそれぞれ担当者が割り当てられていました。私は内部取引高の消去と債権債務の消去を担当していました。

  • 投資と資本の消去
  • 内部取引高の消去
  • 債権債務の消去
  • 未実現損益の消去
  • 上記以外の連結修正仕訳

それぞれの手続きについて詳しく知りたい方は、以前一発合格道場で私が書いた連結の記事をご覧ください(古い記事なのでレイアウトが崩れている点はご了承ください)。

【渾身】連結会計vol.1:中小企業診断士 | 中小企業診断士試験 一発合格道場
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会計監査対応

連結決算でも会計監査を受けます。

上場会社では、単体決算は年度末のみ外部開示しますが、連結決算は四半期で開示するため、外部開示前提なので会計監査も単体決算より厳しいです。

私たちもあらかじめ証拠書類をしっかりと揃えて監査法人に提出し、問い合わせに対応します。

連結決算の場合、単体決算よりも「重要性の原則」による判断が多くなります。前の会社ですと90社近い子会社の財務諸表から連結決算値を作るわけで、もちろんミスや修正仕訳は計上していくものの、なんだかよくわからない差異というのが頻繁に発生します。

例えばグループ会社間の売買取引を相殺する「内部取引高の消去」では、2社間の売上高と仕入高、売掛金と買掛金の金額差異が頻繁に発生します。

関係する会社に確認して差異要因を明確にしていくのですが、なかなか差異要因が明確にならないこともあるため、その場合は金額的な重要性を鑑みて、監査法人と対応方法を確認します。

とにかく外部開示が必要なので、監査も厳しくなかなかハードな対応でした。

 

まとめ

丸太を押す努力

私が現在勤めている会社は非上場会社ですが、海外に子会社があるので内部管理用として連結決算を行っています。

外部開示しないため、連結会計システムを導入せず簡便的に経理が連結決算を行っていますが、もう少し精緻な数値を作ってほしいという指示が経営陣から降りてきました。

私が前職で連結決算を行っていたことから、経理メンバーと連携して、業務負荷を増やしすぎず且つ今より精緻な決算値が作れるようになるための改善を、昨年末行いました。

具体的には、今までの経験から決算値に与えるインパクトが大きい要因が何となく分かるため、その部分のみに絞って現状把握と情報収集の可能性を探り、業務改善を行い、経営陣の了承を得て、今年度から新方式で連結決算をスタートさせることができました。

転職時には連結決算の知識は使わないだろうな、と思っていましたが、無駄になる知識はないものですね。

連結決算は、簿記で学習する内容も複雑ですが、連結と単体決算の両方が分かっていないと対応できないことも多く、非常に会計や簿記の勉強にはなるものの、実務は複雑で結構泥沼です。

もし連結決算の業務に携わりたい方がおられましたら、ガチでしっかり勉強し続けましょう

ここまでお読みいただきありがとうございました。

以上、おべんと君でした。