法令義務がある経理のお仕事 法定開示書類編

書類 経理

こんにちは!おべんと君@企業内診断士です。

これまで2回に渡って、経理部業務の紹介として、「単体決算」「連結決算」について説明しました。経理シリーズ最終回となる今回は、「法定開示書類作成」についてお伝えしたいと思います。

上場会社や株式会社は、様々な情報を株主や投資家に対して公開する法令義務があります。その時に作成する書類の1つとして、この法定開示書類があります。

ここ数年は特に、具体的な会社方針や経営陣の業績分析、環境活動に関する内容など、企業独自の情報発信を強制する法令改正が増えています

法定開示資料って何?どんな種類があるの?いつ作るの?どうやって作るの?など初めて目にする方が多いかもしれませんが、何かのお役に立てれば幸いです。

この記事がお役に立てる方
 ○経理職の就業に興味がある方

法定開示書類の世界

開いた扉

それでは、法定開示書類の世界について、簡単ですがご紹介していきます。

 

法定開示書類って何?

法定開示書類とは、会社が外部に公表する書類の中で、法令や法令に準じた要請に則って作成される書類のことを言います。

具体的に関係する法令は、「会社法」「金融商品取引法」が該当し、特に開示法令については「企業内容等の開示に関する内閣府令」が当てはまります。

また法令に準じた要請についてですが、「決算短信」を読んだことある方、多いのではないでしょうか。実は決算短信の作成は、建付け上は東京証券取引所からの要請という形になっており、法令義務ではありません。ただほとんどの上場会社が決算短信を作成しており、事実上の義務となっています。

具体的にどんな書類が法定開示書類に含まれるかと言いますと、以下のような種類があります。

書類名作成時期根拠法
有価証券報告書年度末金融商品取引法
四半期報告書四半期金融商品取引法
連結計算書類・計算書類年度末会社法
連結注記表・個別注記表年度末会社法
事業報告年度末会社法
決算短信四半期・年度末東証要請

これ以外にも細かい書類はありますが、メイン書類でもそこそこ多いですよね。

 

法定開示書類の書式

有価証券報告書、四半期報告書、決算短信は、PDFにして各社HPに掲載するとともに、XBRLという特殊な拡張子を用いた電子ファイルにして、決算短信は「TDnet」という東証の専用サイト、有価証券報告書と四半期報告書は「EDINET」という金融庁の専用サイトにアップロードします。

このXBRLの電子ファイルを作成するためには、専用の開示書類作成システムを使用する必要があり、この開示システムの提供は、「宝印刷株式会社」「株式会社プロネクサス」の2社による寡占市場となっています(診断士1次試験の経済学で学びますよね)。

具体的な書式については、法令等によって定められており、開示システムではあらかじめ法令に沿った書式が作られていて、その書式に沿って文章や数値を入力していきます。

ちなみに私が法定開示書類作成担当になってから、業務効率化とコスト低減を目的としてのシステムの切替を行ったため、運よく2社のシステムそれぞれの理解と実際に使用する経験を得ることができました。

 

法改正の対応

法改正があった場合は、どういった情報を記載する必要があるのか、その書式はどういったものか、自社でその情報が収集できるか?等を調べていきます。

先ほどの2社が「開示書類作成の手引き」を刊行しているので、基本的にはそちらの手引きを参考にしますが、最近は企業独自の開示を求められているため、手引きでは網羅できません。

そのため社内で開示方針を明確にした上で、開示内容を検討する必要があります。

外部開示は会社内の様々な思惑があり、開示方針をまとめる場合、部門間の社内調整がはっきり言って大変でした。

また、開示する根拠法を調べるために、広辞苑のような分厚さの「会計監査六法」という3,000ページ超の書籍を読んで条文を調べます。

最初は読むのが苦痛ですが、不思議と慣れてきます。会計処理の根拠が条文に書いてあるので、会計知識を身に付ける貴重な経験になりました。

 

法定開示書類の作成

実際の作成ですが、前述した開示システムに必要な情報を入力していきます。

開示システムでは、あらかじめ各種書類ごとに決まった書式に沿ってあらかじめ書式が整っています。

法令や内容に変更がない文章や項目については、あらかじめ記載されている前年度分の文章を踏襲し、日付や数値等必要な箇所だけを最新版に更新していく、といった形になります。

例えば有価証券報告書は100ページ以上ある書類ですが、複数ページに同じ情報が記載されていたり、ページをまたいで情報が連動している箇所が多く、「この部分は変更いらないかな」と思いこみで進めていくと、あるページの変更により本来は変更しなければいけなかったのに漏れていた、という大惨事を招きかねません。

そのため、何度も全ページを読んで抜け漏れを防ぎます。今は有価証券報告書とは離れた仕事なのでかなり忘れてしまいましたが、担当していた当時はどのページに何が書いてあったか、9割近く覚えていた気がします。

法令改正等によって新たに開示する、また開示内容が変更になる場合は、一から文章やフォーマットを作成し、前述の通り社内調整を行うため、非常に負担がかかります。ここ数年で開示の改正は非常に多く、なかなかハードな業務でした。

 

開示書類の分担

会社によって業務フローは様々だと思いますが、私がいた会社ですと、このページは○○部、このページは経理部、のようにページ単位で担当部門が分かれていました。

従来から決まっているページであれば特段問題ありませんが、法改正等で新しく記載が必要になった場合、どの部門が文章を考えるのか?という問題に直面します。

即ち、部署間で作成業務の譲り合い(押し付け合いとも言う)が発生します。この調整業務も当時の私の担当でした。

苦労は・・・言うまでもないですよね。

 

開示書類への入力

下準備が揃うと、あとはひたすら文章や数値を入力していきます。決算情報については、システム切替により、決算システムから自動連携できるようにしましたが、文章は手入力です。

入力後、課内・部内・他部署の目で文章をチェックしてもらいます。かなり集中して作成するものの、どうしても「誤字脱字」や「てにをは」がおかしいところが出てきてしまうので、厳しくチェックしてもらっていました。

私の前の会社では、チェック専任の方が法務部門におりまして、非常に細かい部分まで文章校正の指摘を喰らっておりました。

手を抜かず行っているにもかかわらず、重箱の隅を楊枝でほじくるような指摘は、何度も全身の毛が逆立つような感覚に襲われましたが、その甲斐あって文章作成や執筆に関しては比較的得意になりました。

診断士業務での執筆についても、他の方と比べて校正事項が少なかったことからも、この経験が少なからず生きていると思います。

 

監査法人の監査

決算値同様、計算書類や有価証券報告書は監査法人(公認会計士)の監査を受けます(決算短信は対象外)。

有価証券報告書の最後のページの部分には、監査法人の署名入りで監査報告書が掲載されますので、監査は特に厳しく行われます。監査法人がチェックする内容は、彼らが持つ他社の開示情報データベースと照らし合わせて、もう少しこの情報を開示した方が良いとか、この記載内容はあのページの情報と整合性をとった方が良いとか、正確性や真実性を指摘する内容が多いです。

開示書類は提出期限が決まっているので、提出ギリギリで指摘されすぎないように、事前にこまめに連携をしておくことが必要です。

 

開示書類の提出

有価証券報告書の提出は、EDINETという金融庁が管轄しているサイトを使って行います。

私は有価証券報告書の作成から提出業務までについて、主担当及び他部門との取りまとめ業務を行っていましたので、実際にEDINETに提出をしていました。

この提出については手順マニュアルがあります。

手順を間違えたら必ず金融庁に訂正報告書(社長まで話を通す)を提出した上で、開示書類を再提出する必要がありますので、最後の最後まで気が抜けない業務です。

 

まとめ

レーダーチャート

開示書類作成業務は、会計基準を理解するには非常に勉強になりました。時々中小企業診断士の財務・会計で開示に関する問題が出題されます。いわゆるC問題(得点率が低い問題)に分類されることが多いですが、私としては得点源でした。

非常に勉強になった業務ではありますが、「間違いが許されない」業務のため、開示書類の作成期間は、監査法人に提出日ギリギリで指摘を受けている夢を見るくらいストレスを感じることもあり、勉強にはなりますが進んでまたやりたい業務か?と問われると、答えに窮します。。。(いや、はっきり言うとやりたくないです)

ただし転職活動では連結決算&開示資料作成の経験は経理職では有効なようで、求人の募集要項に記載されている件数は多かったので、経理職に就きたいという方は、連結・開示というのは狙うべきターゲットになるかと思います。

3回に渡って経理の業務についてお伝えしてきましたがいかがでしたでしょうか?

経理職に興味がある方に少しでもお役に立てれば幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

以上、おべんと君でした。